就活は効率的・効果的に!

大学4年のうち、1年以上を就活に捧げる。大学は就職予備校ではありません。そんな本末転倒な状況を打破するために、効率的効果的な就活をお勧めしたい。そんなの思いから、人材業界に関わって30年の筆者が、今までのノウハウ・経験から、就活生に役立つ情報を提供します。

BtoB企業がねらい目! その理由と探し方。

就活をする上で多くの方は「隠れた優良企業」を探したいのでは?
そんな時におすすめなのが、BtoB企業です。
※特に、メーカー志望の人には知っておいていただきたいポイントです。

 

この記事では、下記3点について解説します。
1.BtoB企業とは?
2.なぜ「BtoB企業」がねらい目なのか?
3.BtoB企業の探し方

 

●ポイント


1.BtoB企業は、ものすごく乱暴に言うと、「最終消費財(みなさんや家族が目にする商品・サービス)ではないもの」を作っている会社


2.「最終消費財」を作っていない会社は知名度がないため、受験するがライバルが少ない。
また、知名度がないゆえに、熾烈な競争にさらされることも少なく、安定している場合が多い。


3.BtoB企業の見つけ方は2つ。
①「ビジネス雑誌のランキング」をググる
②「四季報」を買ってみる

 

●ここから本文

1.BtoB企業とは
~企業には「BtoB」「BtoC」「BtoBtoC」の3つがある

 

BtoBとは「Business to Business」の略で、企業から企業への取引をしている会社のこと。
BtoCとは「Business to Consumer」の略で、直接消費者との取引をしている会社です。

またその両方を兼ね備えたBtoBtoCという形態もあります。
「Business to Business to Consumer」の略で、
企業から企業への取引をしているけど、サービスを直接届けるのは消費者という形態です。


まずわかりやすい、BtoC企業から。
この形態の企業はコンシューマー、つまりみなさんのような個人と直接と取引をしている会社なので、知名度が高いのが特徴です。

例えば、鉄道会社・航空会社・旅行代理店・ホテル・百貨店・・・。
IT関連では、課金制のゲーム会社などのWEBサービスを展開している会社です。
※インスタ・LINE・Google、アマゾン・リクルートなども皆さんと接していますが、これはBtoCではなく、後述するBtoBtoC企業にあたります。

 

一方、BtoB企業は、「企業間取引」をしている会社なので、知名度は比較的低いのが特徴です。
みなさんと直接接点がないため、「TVCMをしている」とか「すごく有名な企業」でないと通常知ることはありません。


この両方を兼ね合わせた「BtoBtoC」とは・・。
例えば、自動車メーカーや大手食品メーカー。
皆さんが直接手にする商品を作っていますが、
取引自体は消費者に直接取引をしているわけではありません。
自動車メーカーは販売店を通して、消費者に車を売り、
食品メーカーはスーパーやインターネットサイトを通じて、消費者に送品を売っています。
つまり、企業間取引ではあるけど、最終消費財としてみなさんの手に渡るわけです。


※インスタ・LINE・Googleリクルートなどもこれに該当します。
これらはいずれも消費者に直悦サービスを(多くは無料で)提供していますが、実際は運営するネットに広告を出している企業と取引をしているので、BtoCではないんですね。

 

BtoB企業の場合、例えば、車のブレーキを作っていたりすると、
取引先は自動車メーカー、企業になります。
最終的にみなさんの手に渡るのですが
トヨタの自動車」「ホンダのバイク」の一部のため
最終消費財としてみなさんの手元には届かないわけです。


この3つの形態の企業の中で、「隠れた優良企業」が眠っているのが
2つ目のBtoB企業なのです。

 

2.なぜ「BtoB企業」がねらい目なのか?

なぜ「ねらい目なのか」。
なぜ「隠れた優良企業」が多いのか。


実は、そんな難しい話ではありません。

(1)内定をもらいやすい
知名度がない会社が多いので、学生の応募数も多くありません。
BtoC企業やBtoBtoC企業は、知名度も高いため、応募数も増えがち。

競争相手が少なくなれば、内定を得やすくなるのは当然。
「同業種・同規模・同待遇」の会社であれば、
BtoB企業のほうが、他の2つよりはるかに有利に就活を進めることができます。


(2)競争が起きにくいため、安定しやすい
消費者に直接届く商品・サービスを扱っていると、
他社にマネされやすくなります。

あるお店や商品が流行ったら、類似商品・サービスが
ヤマのように生まれますよね。
ビジネスアイデアやノウハウが丸見えのため、模倣されやすいからです。

一方BtoB企業の場合は、特定の企業に対しサービスを提供していることが多く
そのアイデアやノウハウが公開されることがありません。
そのため、競争が起きにくく、比較的安定していることが少なくありません。
安売り合戦となって利益が削られたり、多くの会社が参入してくることが少ないことが多いです。


(3)「対法人」の方が、「対個人」より取引が安定し、利益率が高い(≒給与水準が高い)
「対個人」の商品の場合、「CMでよく見るから」「少し安いから」などのちょっとした理由で
違う商品に乗り換えることも少なくありません。
「自分の大好きなブランド」だったり、「商品・サービスが圧倒的に強い」場合以外は
すぐに取引がなくなる危険性をはらんでいます。

しかし「対法人」の場合は、
「過去の取引から、対象顧客の情報を蓄積しやすい」
「人間関係・会社同士の付き合いなど、価格・機能以外の取引要素が多い」
などの理由で、取引が消滅する危険性が少ないのが実情です。

※もちろん「価格が他社の方が安い」から取引が終了するケースもありますが、
その場合でも、「この価格で、このサービスを提供できるか」という事前の打診があるため、「価格を下げて、取引消滅を防ぐ」という手段も可能となります。

安定しているということは、利益率高い場合が多く、
必然的に社員の給与も高いことが多いです。


こうした理由で、BtoBをお勧めするワケです。


ただし、一つだけ欠点が・・・。
どこに就職したの?と聞かれ、社名を告げたときに
「おー、すごいじゃん!」と言われないこと。


「その会社ナニ?」という怪訝な顔をされることが多いので、「いやいや、こんなすごい会社でさ!」とイチイチ説明するのが面倒なところ。

 

まぁ、「名をとるか、実を取るか」、その人の判断ですが・・。
どっちも取りたいのなら、BtoBtoCで有名な企業を熾烈な就活戦線をくぐりぬけ、内定を獲得するしかありません。

 

3.BtoB企業の見つけ方は2つ

(1)ビジネス雑誌・転職メディア等のランキング検索
「週刊ダイアモンド」「日経ビジネス」「週刊東洋経済」などのビジネス雑誌や「転職者向け」情報サイトがよく「給与の高い会社ランキング」「ビジネスマンに聞く『転職してよかった』会社ランキング」などを掲載しています。


こうした記事をネット検索して、ランキング入りしている会社で「聞いたことのない会社を」ググってみるのが一番手っ取り早い方法です。

たとえば、「年収の高い&ランキング」でググる
週刊ダイアモンドONLINEの「年収が高い会社ランキング2020【1000社・完全版】」が出てきます。

ちなみに、ベスト10は下記のようになっています。

1.イー・ギャランティ(2413万円)
2.キーエンス(1839万円)
3.ヒューリック(1761万円)
4.三菱商事(1631万円)
5.東京放送HD(1622万円)
6.伊藤忠商事(1565万円)
7.丸紅(1452万円)
8.住友商事(1437万円)
9.日本テレビHD(1401万円)
10.三井物産(1393万円)

 

3~10位は名だたる有名企業が並んでいますが、
1~3位の企業を知っている人は、よほど就活で会社研究をしている人ではないでしょうか?

例えば、2位のキーエンス
今ではだいぶ有名になってしまいましたが、
20年以上前から、ビジネスマン向けの経営戦略講座でケーススタディーになっていた会社です。

センサーや測定機など、各メーカーが製品開発をする上で欠かせない機器を販売している会社で、各メーカーの研究開発の段階から入り込み、その会社に必要不可欠な商品しか作らないメーカーとして有名です。
他社が参入してきて価格が下がってきたら、利益率が下がったらすぐ撤退。
違う分野にします。だから、営業利益率は55%!(通常は10%あれば優良企業と言われています)。
私の知り合いが何人か働いていましたが、20代で年収1000万円は当たり前のようです。
※その代わり、仕事はとってもハードらしいですが・・・。
30代で一財産作って、独立する人も多いとのこと。

このように「自分の気になる選社基準 & ランキング」でググるといろいろな会社が出てきます。

例えば・・・・

 

●転職してよかった&ランキング

●隠れた優良企業&ランキング

●休みがとりやすい&ランキング

●若手で成長できる会社&ランキング

 

いろいろなキーワードで検索してみてください。

もちろん有名な企業が上位にランクインしていることが多いですが、
それは大体、超有名企業か、BtoBtoC企業。
知らない会社があったら、きっとその会社は優良BtoB企業。
100位くらいまで見てみて、調べてみることをおススメします。


(2)四季報で調べる
本屋さんに行くと、「四季報」という厚い本があります。
投資家向けに発行されている株価の推移が載っている本で、
各社の会社規模や財務指標も記載されています。
年に4回発行され、1冊2000円ちょっと。
※3か月前のものなら、200~300円でAmazonで売ってます。
※本当の「四季報」が難しそうだったら、「就活四季報」でも代用できます。

 

ここには、日本全国の上場企業約4000社弱の情報が、業種順で載っています。
この中から、自分の第一志望企業群の超有名企業を探し、その前後10~20ページを見てください。
すると同じような会社が並んでいるので、その中から「知らない」企業があったら
それは「隠れた優良企業」の可能性が高いです。
※その会社が「優良か、そうでないか」、記者のコメントも載っているので便利です。

就活と投資は似ています。
ただし、投資は自分の財産を増やすためにこの数か月~数年の投資先を選ぶもの。
就職は、自分の人生を投資するので、10~20年程度のスパンとなります。
そのスパンの違いを意識して、読んでいくと有益な情報が得ることができます。


「就職ナビ」や「スカウトサイト」、「紹介サービス」だけ見ていても
ライバルとなる他の学生と差別化はできません。

是非、違った視点から会社選びをしてください。